【救急看護の基礎知識】低体温療法

【救急看護の基礎知識】低体温療法

目次

脳低体温療法とは

脳低温療法は、全身麻酔下で脳温を低下させ、虚血領域やその周辺での神経細胞の損傷や脳浮腫などを防ぐために行われます。頭部外傷のほか脳出血・クモ膜下出血・蘇生後脳症などに適応があります。

適応基準

    •  年齢: ≦ 70歳
    • 対象症例: 初期調律VF/VT(市民AEDで除細動施行例を含む)、救急隊接触後にPEAとなった場合
    • 神経学的所見: 蘇生時GCS≦8
    • bystander の有無、CPR開始までの時間、卒倒から循環再開(ROSC / PCPS開始)までの時間は問わない
    • 蘇生後MAP > 60 mmHgを維持可能
    • informed-consentが得られた症例
    • 難治性/再発性VFであればPCPSスタンバイ

体温管理

    • 維持期は3日間中枢温を33℃に維持します。
    • 導入3~6時間以内に34℃
    • 維持24時間
    • 復温期は緩やかな復温を心がけ、1日かけて1℃ずつ復温します。
    • 復温2℃/10h(0.2℃ / hr)
    • 36度で筋弛緩・鎮静終了
    • 麻酔離脱期は、呼吸器とのバッキングやルートトラブルに注意します。

合併症

    • 末梢循環不全による凍傷や褥瘡:予防のために、四肢末梢の保温や全身の定期的な徐圧を行います。
    • 麻痺性イレウス:筋弛緩薬の影響があります。点滴による腸蠕動促進を行います。
    • 肺合併症:麻酔下のため、肺炎、無気肺をおこしやすいです。肺理学療法や去痰剤を使用します。
    • 出血傾向:低体温下では、血小板が門脈系にシフトするため、血小板減少が必発します。ルート挿入部や皮下出血など出血傾向のチェックします。
    • 不整脈:低体温下では、腸壁の透過性亢進により、カリウムが腸壁より体外に流出し、低カリウム血症となりやすいため、不整脈を誘発します。
    • 易感染性:低体温下では、免疫力が低下するため、全身の清潔保持が重要です。
    • 血糖値上昇:膵血流低下によるインスリン分泌低下やカテコールアミン増加により,血糖値が上昇します。
    • 角膜潰瘍:閉眼できない患者に対して、生食に浸した綿で保護したり、眼軟膏を塗布します。
    • 肺合併症:体温上昇の伴い、気道内分泌物が増えます。
    • 脳浮腫による神経症状の悪化:急激な復温は脳代謝を亢進させ、頭蓋内圧亢進や脳浮腫を招きやすいので、眼症状の変化を注意します。
    • 不整脈:復温に伴い、カリウムが上昇するため、不整脈に注意します。
    • 凝固能亢進:復温に伴い、門脈系にシフトしていた血小板が遊離され、急増します。

観察ポイント

急激な体温低下や麻酔導入により、血圧や心拍数の低下、不整脈を誘発します。また麻酔が不十分だと血圧や心拍数を上昇させたり、シバリングを誘発し、逆に体温上昇をきたします。体温管理を綿密にし、必要以上に低体温にしないことも重要です。

 

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