【救急看護の基礎知識】CHDF(持続血液透析濾過法)

【救急看護の基礎知識】CHDF(持続血液透析濾過法)

目次

目的・適応

循環動態の不安定な腎不全に対して行われます。また高サイトカイン血症を呈する病態に対しPMMA膜等を用いてサイトカインの制御を行い多臓器不全の進行を防ぐ目的でも使用されます。HDFを24時間持続的に行うということをCHDFといいます。

主な例として多臓器不全症候群、急性腎不全、急性薬物中毒、維持透析患者の急性増悪、水分・電解質以上、急性膵炎、敗血症、SIRSに対してCHDFが行われます。

しくみ

血液透析(HD)

血液透析は、血液と透析液とを透析膜と呼ばれる分離膜を介して間接的に接触させ、拡散と限外濾過により物質 交換や溶質除去を行うことです。小分子量物質の除去が可能です。

血液濾過(HF)

血液濾過器による限外濾過を用い、体液を濾過し、除去する方法です。透析液を使用せず、電解質組成を調整するために補充液を注入します。補充液は、濾過量に相当する量(12~20L/回程度) が必要です。除水量は、濾過量と補充液量との差で設定します。このように補充液を用いるため、血液透析時のような急激な血漿浸透圧変化が生じにくく、安定した循環動態を得やすい方法です。しかし、血液透析と比較して、中大分子量物質の除去効率がすぐれている一方、小分子量の除去が不良です。

通常の血液透析法では血圧の維持が不可能な患者、いわゆる透析困難症の患者さんに用います。また不均衡症候群を起こしやすい患者さん、眼圧の高い患者さん、脳圧の高い患者さんにも効果的です。中分子量物質の効率的な除去に向きます。

血液濾過透析(HDF)

血液透析と血液ろ過を同時に行う方法です。透析液を流しながらろ過を行い、補充液を注入します。血液透析と血液ろ過の長所を兼ね備えた治療法で、血液透析と比べると体にたまった大きな物質の除去に優れ、血液ろ過と比べると小さな老廃物の除去に優れています。また、血液透析と比べ血圧低下を起こしにくいため、透析困難症(血液透析によって血圧低下等を起こす患者さん)、透析アミロイド症がある患者さんの治療に向いています。

ブラッドアクセス

右内径静脈、大腿静脈、あるいは鎖骨下静脈にブラッドアクセスを留置すします。内シャントでは、CHFやCHDFが2~3日間に及ぶと、穿刺部から血液が漏れ出ることがあります。

観察ポイント

    • 出血のリスクが高まるためACTを150秒程度を目標に管理して行きます。
    • 低体温になりやすいため注意していきます。
    • 開始直後は回路分の循環血漿量低下により血圧低下をきたしやすいため注意していきます。
    • 開始後しばらくすると逆に血圧上昇する事が多くあります。(pHの安定でカテコラミンの作用が回復することや炎症メディエーターの制御によると考えられています。)
    • ブラッドアクセスし入部の観察やライントラブルに注意していきます。
    • 水分出納による循環動態を把握するためCVPのモニタリングも重要となります。
    • 入口圧や返血圧が上昇する際はラインの屈曲やつまりがないか等の観察を行っていきます。

 

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