【救急看護の基礎知識】血漿交換療法

【救急看護の基礎知識】血漿交換療法

目次

目的

病原物質の除去と生体欠乏因子の補充を主な目的として行います。

適応疾患

    • 急性肝不全 除去目的物質:(肝性昏睡物質、サイトカイン、エンドトキシン)
    • 劇症肝炎(肝性昏睡物質、サイトカイン、エンドトキシン)
    • 薬物中毒(薬物)
    • 血栓性血小板減少症(TTP)(血管内皮細胞障害因子・サイトカイン・血小板活性化因子補充)
    • 溶血性尿毒症症候群(HUS)(血管内皮細胞障害因子・サイトカイン・血小板活性化因子補充)
    • ギランバレー症候群(自己抗体)
    • 重症筋無力症(自己抗体)
    • 多発性硬化症(不明)
    • 全身性エリテマトーデス(免疫複合体、自己抗体)

血漿交換療法とは

血漿分離器で血液を血球成分と血漿成分に分離して病原物質を含んだ血漿成分を破棄して、血液成分(FFPやアルブミン製剤)に置換する治療法です。2つの方法が一般的に行われています

(1)単純血漿交換療法(PE)

血漿成分を全て破棄し置換します。

(2)二重膜濾過血漿交換法(DEPP)

分離した血漿を分画して不要物質を除去、有用な分画(主にアルブミン)を戻します。

看護の実際・観察

  • ブラッドアクセスを挿入して行います。主に内頚静脈、大腿静脈を使用します。
  • 開始、返血の際は循環が不安定となりやすいため十分に注意する必要があります。
  • 抗凝固薬を使用して行うため出血所見に注意する必要があります。
  • FFPを使用する際はアナフェラキシーに注意します。
  • FFP中には大量のクエン酸やNaが含まれており、代謝性アルカローシス、高Na血症、高Ca血症を起こす可能性があります。また血漿膠質浸透圧の低下により脳浮腫や肺水腫を起こす可能性があります。これらを予防するためにCHDFを併用することもあります。心電図でのモニタリングや血液ガスでの定期的なモニタリングを行っていく必要があります。
  • 低Ca血症ではテタニーを起こしたり心機能に影響を及ぼす可能性があります。予めCa製剤の投与を行うこともあります。血液ガスなどで定期的にモニタリングしていく必要があります。

 

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