【救急看護の基礎知識】強心薬

【救急看護の基礎知識】強心薬

目次

強心薬とは・・・

心臓の収縮力を強くするために使用され、カテコラミン、PDEⅢ阻害薬、ジギタリスが含まれます。
その人その人に適した量を投与するために体重に合わせてガンマ計算を行い投与量を決めていきます。

カテコラミン

心筋細胞膜または血管内皮細胞膜にある受容体に結合することによって効果を示します。
α作用:末梢血管を収縮させる作用
β1作用:心拍数お増加させえ、心収縮力を強める作用
β2作用:末梢血管の拡張と気管支の拡張作用

塩酸ドパミン(DOA)(イノバン)

初期使用量:3μg/kg/min    α作用:+   β1作用:++   β2作用:-
特徴:少量~中等量では腎血流量増加と尿量増加が見られる。主としてβ作用、多量でα作用。

塩酸ドブタミン(DOB)(ドブトレックス)

初期使用量:3μg/kg/min    α作用:-   β1作用:++   β2作用:+
特徴:β1受容体に対する直接刺激作用により、心筋収縮力と心拍出量を増加させます。変時作用、不整脈催起作用は少なく、また肺動脈楔入圧を上昇させません。
大量投与時(20γ/kg/分以上)は心拍数が増加してくるが、血管に対する作用はα作用(血管収縮)より、β2受容体刺激作用(血管拡張)が有意であ
るために、過度の末梢血管抵抗の増加がなく、心筋への負担も少ないです。利尿効果は期待できません。

エピネフリン(ボスミン)

初期使用量:0.05μg/kg/min α作用:++  β1作用:+++  β2作用:+++
特徴:心停止の補助治療としてよく使用されます。蘇生などの緊急時には、アドレナリンとして、通常成人1回0.25mg(0.25mL)を超えない量を生理食塩液などで希釈し、できるだけゆっくりと静注します。なお、必要があれば5~15分ごとにくりかえします。アドレナリンとして、通常成人1回0.2~1mg(0.2~1mL)を皮下注射又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減します。

ノルアドレナリン

初期使用量:0.05μg/kg/min α作用:+++ β1作用:++   β2作用:-
特徴:末梢血管の収縮作用が強く低血圧に対して使用されます。

塩酸イソプロテレノール(プロタノール)

初期使用量:0.01μg/kg/min α作用:-   β1作用:+++  β2作用:+++
特徴:心拍数の増加作用が強く除脈に対して使用されます。

PDEⅢ阻害薬

受容体を介さずに作用し心臓の収縮力を強めると同時に末梢血管を拡張させます。

ミルリノン(ミルリーラ)

初期使用量: 0.5μg/kg/min α作用:-   β1作用:-    β2作用:-

アムイノン(アムコラル)

初期使用量:5μg/kg/min    α作用:-   β1作用:-    β2作用:-

塩酸オルプリノン(コアテック)

初期使用量:0.2μg/kg/min  α作用:-   β1作用:-    β2作用:-

特徴:これらの薬剤は心臓に対しては収縮力増加作用があり、血管に対しては拡張作用があります。

ジギタリス

主な薬剤:ジゴキシン、ジギトキシン

  • 心臓の収縮力を強めると同時に心拍数を減少させる働きがあります。
  • 術後の急性期に用いられることは少なく心房性の頻拍性不整脈に対し使用されることが多い薬剤です。
  • 中毒性がある薬剤のため血中濃度をモニタリングする必要があります。

ジギタリス中毒の症状

  • 消化器症状(食欲不振、悪心・嘔吐、下痢)
  • 視覚異常(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視)
  • 精神神経系(めまい、頭痛、失見当識、錯乱、譫妄)
  • 不整脈(高度の徐脈、二段脈、多源性心室性期外収縮、発作性心房性頻拍)
  • 電解質異常(低K血症、高Ca血症、低Mg血症)

 

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